熊野古道 女鬼峠
お伊勢参りをすませた後に、多くの旅人たちが目指したのが熊野詣。
そのスタート地となる田丸(玉城町)で巡礼衣装に着替えた人々は、
熊野街道(伊勢路)で熊野三山へと向かいますが、
多くの峠を越える熊野街道(古道)で最初に越えるのが「女鬼峠」です。
この日はウオーキングには絶好の秋晴れ!
田丸から、古い町並みの残る玉城町、多気町内を歩き、
女鬼峠(めきとうげ)を越えて栃原(大台町)までのコースでした。
JR田丸駅前にある「熊野古道伊勢路出立の地」碑と像、
ここから北に少し歩いて伊勢本街道に出ます。
伊勢本街道を西に向かうとあるこの道標。見てびっくりしましたが、
長い間、玉城中学校に移されていた本来の旧道標です。
いつからか?こうして元に戻されていましたが、ここが初瀬街道と
伊勢本街道の合流点で、熊野街道が分岐するところ。
田丸は熊野詣の出発地でもあり、紀州街道で吉野・高野、
西国観音巡礼へと向かう人たちで賑ったといいます。
田丸も旧宿の面影を残していますが、
この先、コースの見どころとともにまたにして、今回は女鬼峠です。
田丸の旧宿を抜けて県道13号線に出るとあるこの石柱。
ここから南に下った宮古にある「神照山廣泰寺」への寺名柱ですが、
道標を兼ねたもので、「右 くまのかうやよし乃 左 たな・・志摩・・道」、
北面には「神照山廣泰寺 是より十五丁」と刻まれています。
南に下ると、渡会町を経て南伊勢町を通る熊野脇道への分岐点。
本街道はここから西に向かいますが、すぐに野篠。
その道端にあるのが「接待地蔵尊」。地蔵尊の詳細は省きますが、
ここにあった旧家ではお茶の接待がされていたという。
ここから長い県道歩きになりますが、蚊野から原と行き
旧道の分岐にあった「石佛庵」と「巡礼道引観世音」。
西国三十三観音が祀られ、”くまのぢを みちびきたまえ かんぜおん
きよきふじょうも ひとはゑらばず ”のご詠歌が掛かっています ^^;
ここから昔の面影が色濃く残る腹の集落を抜けて多気町へ。
野中にある「永昌寺」、ここも見どころの多いお寺でしたが、
ここでうっかり見落としそうになった道しるべ 。
すぐ左脇にあったのが目的の「女鬼峠」への案内でした ^^;
ここから道は集落のなかを右左折して行きますが、
すぐの角にあったのがこの道標。
東面には「左 さいこく道」、北面には「よしのかうやみち」、
西面には「すくさんくう道」と刻まれています。
ここは和歌山別街道との分岐で、道標は天保4年(1833)のもの。
この先で「西外城田神社」を見ると県道119号線に出ます。
しばらく県道を歩き、野中の南にある最後の集落を抜けると、
道路わきの峠案内板で雑木林の中の里の道へ。
林を抜けた先で伊勢自動車道をくぐります。
そしてようやく目的の「女鬼峠」多気町側登り口です ^^
ご覧のように思っていたよりは明るい入口でしたが・・・
そこはやはり峠道 ^^;昔は荷車も通ったとか?轍の跡が残ります。
このあとも「水飲み場跡」や「石積み跡」などを見て登っていくと
女鬼峠に到着!
茶屋跡が残り、横から巻いて行くと展望台ですが、
それは別ルートで行くとして、まずは見たかった切り通しです ^^;
熊野古道の峠は石畳が人気ですが、
このような切り通しのある峠道はここだけでしょうか ^^
一部では崩れた感もありますが、掘削跡のある岩や
石積みもしっかりと残っています。
古道の峠道は我が歩いた限り、どこもそれなりの雰囲気がありますが、
標高120mと標高差が少ないものの、ここはまた格別の趣でした。
少し興奮気味で展望台に立ち寄ります。
峠の山頂から眺める熊野方面の山並み。
ひと休みして戻ります。
戻った峠すぐ下には、この日出会ったただ一組のグループです^^;
その方たちが休まれていたところが「名号碑と如意輪観音像」前。
名号碑(右)には”南無阿弥陀仏”と彫られていて、
祠の中には「如意輪観音」が祀られています。
ここから下りになりますが、こちらの道は広くて明るい道。
気持ちよく下って行くと
「大神宮寺相鹿瀬寺跡」があります。
天平神護2年(766)、称徳天皇により建立されましたそうで、
周囲から奈良時代の軒瓦などが出土しているという。
すぐに相鹿瀬(おうかせ)の集落に出ます。
このあとは多気町から大台町に入り、千代、柳原、新田と続く、
旧道の見どころを楽しんでJR栃原駅まで。
距離は約15kmほど、5時間の行程でした ^^; 21日
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好好爺さん
熊野古道の散策は素晴らしいでしょうね。私も、ツアーで一度だけ、少し歩きましたが「女鬼峠」などは通りませんでした。お写真で拝見しただけで素晴らしい古道だと分かります。秋の好日、こんな古道を歩けるなんて、羨ましいです。
投稿: shutle | 2018年10月24日 (水) 08時39分
shutle さん
熊野古道の魅力はやはり石畳の残る峠歩きでしょうか。
各峠へはアクセスが悪いだけにツアーは人気がありますね。
女鬼峠は伊勢路最初の峠でもあり、どうしても歩きたかったところです。
標高は低いですが、その切り通しも魅力でした。
秋晴れの中、久しぶりに峠歩きを楽しんできました。
投稿: 好好爺 | 2018年10月24日 (水) 16時55分